朝の登園と健康観察はどんな流れで進むの?
ご質問の「園生活の1日をのぞいてみよう」のうち、朝の登園と健康観察がどんな流れで進むのか、一般的な幼稚園・保育所(保育園)・認定こども園で共通する実務を、根拠とあわせて詳しく説明します。
実際の運用は園種別や自治体、感染症流行状況で差がありますが、下記が現在広く採用されている標準的な流れです。
朝の登園〜受け入れの基本的な時系列
– 到着(保護者同伴/通園バス)
– 玄関や保育室前で職員が出迎え、あいさつと同時に子どもの様子を第一印象として観察(顔色、表情、歩き方・足取り、機嫌、咳や鼻水の有無、声の張りなど)。
– 通園バスの場合は添乗職員が乗車時・降車時に簡易観察し、到着後に担任が改めて確認。
– 体調の申し送り
– 連絡帳(紙/ICTアプリ)や口頭で、保護者から「今朝の体温」「昨晩の睡眠時間」「朝食の摂取」「機嫌」「排便」「服薬の有無」「家庭内での感染症罹患状況」などを受け取る。
– 与薬が必要な場合は、処方薬と与薬依頼書(園所定様式)を確認・受領し保管(後述の根拠参照)。
– 検温・健康観察(視診・触診・問診)
– 多くの園では登園時に検温(非接触/腋下)を実施。
流行期は家庭で検温→記録+園で再確認の二重チェック方式もある。
– 担任・看護師等が視診(目で見る)を中心に、必要に応じて前額部や頸部に触れて熱感・発汗の程度などを確認。
医行為に当たらない範囲での観察。
– 咳・鼻汁・くしゃみの程度、呼吸のしんどさ(肩呼吸、陥没呼吸の有無等)、声のかすれ、発疹・発赤、眼の充血・目やに、口内の痛み訴え、腹痛・吐き気の訴え、歩行時のふらつきなどをチェック。
– 手洗い・手指衛生
– 登園直後の手洗い(石けんと流水で20秒以上)を指導・支援。
必要に応じてアルコール手指消毒。
– 所持品整理・身支度
– コップ・タオル・連絡帳・着替え・おむつ等を所定の場所へ。
午睡布団の収納、名札の着用など。
– 自由遊び・朝の集まりへ移行
– 健康観察で問題がなければ、保育室での自由遊びやコーナー遊びに合流。
園全体の朝の集まり(うた・出欠確認・当番紹介など)までに、健康観察記録の入力・共有を済ませる。
健康観察で見る具体的なポイント(チェックリストの例)
– バイタル・全身状態
– 体温(目安 平熱との比較が重要。
37.5℃以上または平熱+1℃を一つの目安とする園が多い)
– 表情・反応性(ぼんやり、ぐったり、刺激に対する反応)
– 活気・遊びへの参加意欲
– 呼吸器症状
– 咳の頻度・連続性、喘鳴(ゼーゼー)、呼吸の早さ・苦しさ、鼻汁の量・性状
– 消化器症状
– 吐き気・嘔吐の有無(連続嘔吐・2回以上は注意)、腹痛の訴え、下痢・血便の有無
– 皮膚・粘膜
– 発疹・水疱・かゆみ、口内炎、結膜充血・目やに
– 災害・けが・安全
– 登園時点での外傷・打撲・不自然な傷(虐待の可能性に留意しつつ、事実ベースで記録)
– 生活リズム
– 睡眠(就寝/起床時刻、夜泣き)、食事摂取量、朝食の有無、排便状況、服薬の有無
– 感染症曝露
– 同居家族やきょうだいの発熱・診断結果、クラス内の流行情報との突合
登園可否の判断と初期対応(一般的な目安)
– 登園を控える目安(代表例。
園の就業規則・衛生管理マニュアルに従う)
– 発熱 37.5℃以上、または平熱より明らかに高い発熱があり全身状態が不良
– ぐったりしている、普段と明らかに違う
– 嘔吐を繰り返す、下痢が続く、腹痛が強い
– 呼吸が苦しそう、咳がひどく止まらない
– 眼脂の多い結膜炎が疑われる、全身の発疹が拡がる
– 医師から登園停止を指示されている感染症(インフルエンザ、水痘、はしか、流行性耳下腺炎、百日咳、溶連菌咽頭炎など)
– 受け入れ後に体調不良が出た場合
– 別室・静養スペースで安静、体温再測、必要に応じ看護師・園医に連絡
– 保護者へ状況連絡、早めのお迎え依頼
– 嘔吐・下痢・発疹などの状況を記録し、感染対策(吐物処理・環境消毒)を徹底
– 出席停止と復帰(登園)目安の例
– インフルエンザ 発症後5日経過かつ解熱後2日を経過するまで(幼児は解熱後3日までとする運用が一般的)
– 水痘 全ての発疹が痂皮化するまで
– はしか 解熱後3日を経過するまで
– 流行性耳下腺炎 耳下腺の腫脹が消失するまで、または発症後5日を経過するまで
– これらの詳細は学校保健安全法の基準と園の就業規則に基づく
保護者との申し送り・書類運用
– 連絡帳・ICTでの標準項目
– 体温、睡眠、食事、排便、投薬、けが・通院、家庭内の感染状況、気になる行動・機嫌
– 与薬(投薬)に関する手順
– 原則として医師処方薬のみ、保護者の与薬依頼書と薬剤情報(ラベル・説明書)を確認
– 園内での与薬記録(誰が、いつ、何mg/何mLを投与したか)を残し、誤投薬防止のダブルチェック
– 降園時のフィードバック
– 朝の観察と日中の体調のつながり、今後の注意点、医療機関受診の推奨などを具体的に
幼稚園・保育所・認定こども園の違い(朝の流れの差)
– 幼稚園(文科省所管)
– 登園時間がまとまっている(例 830〜900)。
通園バスの比率が高め。
朝の健康観察は短時間で集中的に実施し、出席停止の判断は学校保健安全法の基準に準拠。
– 保育所(厚労省所管)
– 開所が早く時間幅が広い(例 700〜930に順次登園)。
毎朝の健康観察・連絡帳のやり取りが日課として確立。
看護師配置園では看護師が初期観察を補完。
– 認定こども園(内閣府・文科省・厚労省の共管)
– 上記双方の特色を併せ持ち、教育時間帯と保育時間帯の区分の中で一貫した健康管理を行う。
感染対策・衛生の具体
– 手洗い 流水・石けんで20秒以上、清潔なタオルで拭く。
幼児は歌1曲分などで時間感覚をつかませる。
– 咳エチケット 咳・くしゃみは袖やティッシュで口鼻を覆う。
使用後は廃棄と手洗い。
– 環境 登園直後におもちゃ・机などの共用物の消毒を流行状況に応じて実施。
換気を定期的に行う。
– 嘔吐物処理 使い捨て手袋・マスク・ペーパータオルで外周から内側へ拭き取り、次亜塩素酸ナトリウムで消毒、廃棄物は二重袋で密封。
バス登園のときの健康観察
– 乗車時点での表情・活気・咳を添乗職員が確認し、気になる場合は保護者へ声掛け(乗車見合わせの判断を提案)。
– 園到着後は担任が通常どおり検温・視診・聞き取りを実施し、バス内の様子も申し送りに反映。
記録と情報共有
– 毎朝の健康観察は、連絡帳や園の記録台帳・ICTで時刻、体温、症状、対応を簡潔に残す。
– クラス内で有症状の児が増えている場合は園内でアラートを共有し、保護者にも連絡(掲示・アプリ配信)で注意喚起。
– 個別配慮児(アレルギー、喘息、てんかん、医療的ケア児)は個別対応計画(アレルギー対応指針、エピペン計画、吸入・吸引計画等)に基づき、朝の確認事項をチェックリスト化。
実務上のポイント
– 観察は「短時間・全身・いつもとの違い」を意識する
– 数値(体温)だけでなく「全身状態」で総合判断する
– 保護者とは事実ベースで簡潔に共有し、判断が分かれるときは「園の基準」と「法令・ガイドライン」を根拠に丁寧に説明
– 園内に看護師がいない場合でも、園医との連携ルートと緊急時対応を明確化しておく
根拠(主な法令・指針・公的資料)
– 厚生労働省「保育所保育指針(平成29年告示)・同解説」
– 保健衛生・健康及び安全の章で、毎日の健康観察、家庭との連携、記録・共有の重要性が明記されています。
– https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/hoiku/shisaku/shitei/index.html
– 厚生労働省「保育所における感染症対策ガイドライン」(2018年策定、適宜改訂)
– 登園時の健康観察の観点(発熱、呼吸器・消化器症状、発疹等)、手洗い・嘔吐物処理、環境消毒、登園の目安(登園許可の扱いを含む)が体系的に示されています。
– https://www.mhlw.go.jp/content/11907000/000496673.pdf
– 学校保健安全法・同施行規則(文部科学省)
– 「出席停止」対象の感染症と復帰(登園・登校)基準の根拠法令。
インフルエンザは「発症後5日経過かつ解熱後2日(幼児は3日)」が一般的運用基準。
– 法令概要 https://www.mext.go.jp/
– 参考資料(学校において予防すべき感染症の解説と出席停止の基準等) 各教育委員会・文科省資料
– 幼稚園教育要領(平成29年告示)・同解説(文部科学省)
– 幼児期の健康、安全、生活習慣形成、保護者との連携について、日常の指導・観察の基本が示されています。
– https://www.mext.go.jp/
– 厚生労働省 通知「保育所における与薬の取扱い」等
– 原則として医師処方薬に限り与薬を実施すること、依頼書・記録・ダブルチェック等の手順に関する考え方が各自治体指針の根拠になっています。
– 例 自治体の与薬ガイドライン(東京都・大阪府等)の根拠として引用
– 日本小児科学会・日本小児科医会などの解説資料
– 保育施設における感染症の登園目安や保護者向けリーフレットで、園実務に即した説明が整理されています。
– https://www.jpeds.or.jp/
補足
– 37.5℃や平熱+1℃などの基準は各自治体・園で微調整があり、発熱以外の全身状態と合わせて総合判断することが公的指針でも推奨されています。
– インフルエンザ等の復帰基準は法令に基づくため、園独自の裁量で短縮はできません。
医師の意見書や登園許可証の提出を求める運用も一般的です。
– 実際の運用は園の「しおり」「健康・安全マニュアル」「感染症対応フロー」に従ってください。
以上が、朝の登園から健康観察に至る実務の全体像と、その根拠です。
保護者・園双方が「いつもとの違い」を共有し、記録に残し、法令・ガイドラインに沿って判断することが、安心・安全な園生活の出発点になります。
朝の会から主活動まで、子どもたちは何をして過ごすの?
以下は、幼稚園・こども園・保育園(3~5歳児中心)で「朝の会から主活動まで」に子どもたちが何をして過ごすか、そのねらいと流れ、保育者の関わり方、そして根拠となる指針・理論を踏まえて詳しくまとめたものです。
園の方針や季節、年齢、行事によって差はありますが、基本的な考え方は共通しています。
朝の会での過ごし方とねらい
– 集まりの場所づくり
子どもが見通しを持ちやすいように、絵本コーナーや朝の歌の掲示、出欠表、天気ボード、1日の予定カード(ピictogram)などを準備。
床にサークル状に座る、いすに座るなど園の方針に応じて統一します。
– はじめの合図と安心のルーティン
朝の歌・季節の歌・手遊び・挨拶でスタート。
決まった手順は予測可能性を高め、不安を下げ、切り替え(トランジション)をスムーズにします。
– 出欠確認・健康観察
名前を呼び、返事をすることで自己の存在感と集団への所属感を育てます。
保育者は顔色、咳、けが、表情からコンディションを観察。
必要に応じて衣服調整や水分補給の声かけ。
– 今日の予定と約束の共有
天気・園外や園庭の可否、活動の流れ、必要な持ち物(帽子・水筒)を簡潔に伝えます。
危険箇所の確認や、活動に合わせた約束(走る場所、使い方、順番を待つなど)を具体的に。
– 話題・導入(導入活動)
ショート絵本、自然物(葉・虫・氷・色水)、写真や実物を提示。
今日の主活動につながる問いかけ(「どうしたら速く走れる?」「この葉っぱ、においは?」)で子どもの興味を立ち上げます。
– リズム・体操・発声
短時間の体操やリトミックで体を起こし、注意の焦点化を助けます。
特に戸外活動前は準備運動でけが予防。
朝の会から主活動へ移るまでの準備(トランジション)
– 片付けと役割分担
コーナー玩具を片付け、当番活動(カレンダー係、水やり、配布など)を行う。
役割は自己効力感と責任感を育てます。
– トイレ・手洗い・水分補給・衣服調整
集団での移動は少人数に分け、見通しのある順番待ち(簡単な手遊び・ミニ課題)でだれない工夫。
季節に応じて帽子・上着の着脱を自分で試み、必要時に援助。
– 安全確認と説明
戸外に出る場合は靴の履き方、ひも・帽子の顎ひも、園庭の使用範囲、散歩の隊形(ペア・ロープ)を確認。
室内活動なら道具の扱い(絵の具・はさみ・のりなど)を再確認。
主活動での過ごし方(例とねらい)
主活動は「遊びを中心に、ねらいをもって用意された環境で展開する活動」です。
一斉で行う場合もあれば、コーナー・小グループ・プロジェクト型で行うこともあります。
造形・制作活動
例 秋の自然物コラージュ、色水まぜ実験、共同の大きな絵。
ねらい 手指の巧緻性、感性・表現、素材への気づき、構想の言語化、道具の適切な使用。
保育者の関わり 素材の多様さを用意し、意図の言語化を促し、完成を急がせずプロセスを評価。
戸外・運動遊び
例 園庭あそび、サーキット(跳び箱・平均台・マット)、散歩での自然観察、鬼ごっこ、ボール遊び。
ねらい 全身運動、バランス・敏捷性、ルール理解、危険予測、仲間への配慮。
保育者の関わり 見通しの立つコースづくり、リスクアセスメント、年齢差に応じた足場かけ(スキャフォルディング)、成功体験の調整。
探究・科学的あそび
例 虫・植物の観察、氷・シャボン玉・磁石・重さ比べ、水路づくり。
ねらい 仮説→試行→気づきの循環、言葉での説明、数量・比較の基礎。
保育者の関わり 「どうして?」を受け止め、結果だけでなく過程を言語化。
「次はどうする?」の問いで思考を深める。
言葉・音楽・リズム
例 詩のリズム遊び、合奏、簡単な楽器、音と静の切り替え遊び。
ねらい 音韻への感受性、協働、自己表現、情緒の安定。
保育者の関わり 全員が関われる配役、できた・できないの二分法にしない評価。
ごっこ・劇あそび・異年齢交流
例 店屋さんごっこ、季節の劇づくり、年長が年少をエスコート。
ねらい 社会的役割理解、やりとりの言語、自己調整、思いやり。
保育者の関わり 素材提供と環境設定、衝突の調停、対話の仲立ち。
日々の流れの具体例(目安)
– 900 朝の会(歌・挨拶・出欠・予定・導入)10~15分
– 915 準備・トイレ・水分補給・移動 10~15分
– 930 主活動(室内制作または戸外あそび・散歩・運動あそびなど)30~60分
– 1015 途中の休憩・水分補給・小グループの入れ替え
– 1045 片付け・振り返り(「楽しかったこと」「次にやりたいこと」)5~10分
年齢が下がるほど集中可能時間は短く、切り替えも多めに設定します。
保育者が大切にするポイント
– 見通しの提示と視覚的支援
予定カードや写真を掲示し、活動の始まり・終わり・次の予定を可視化。
トランジションソングやタイムタイマーの活用で切り替えやすくします。
– 個別性と小グループ化
発達や興味に合わせて素材や課題を調整。
同じねらいでも難易度を段階化し、成功体験を積み上げます。
– 安全・衛生・季節配慮
熱中症・寒さ対策、水分補給の声かけ、衣服調整、道具・遊具の点検。
戸外は見通しの悪い箇所の事前確認。
– 記録と評価(振り返り)
観察メモ、写真、子どもの言葉の記録を次の計画へつなげます。
「できた・できない」ではなく「どんな関わりで、何に気づいて、どう広がったか」を重視。
年齢別の配慮の違い(概略)
– 年少(3歳)
短い朝の会、手短な導入。
動きを多く、選択肢は少なめ。
遊具・道具は大きめ・安全性重視。
– 年中(4歳)
小グループ活動が増え、役割分担を明確に。
言語化を促す問いを増やす。
– 年長(5歳)
プロジェクト型や共同制作、ルールづくりも子ども主体に。
記録や発表の機会を設ける。
なぜこの流れなのか(根拠)
– 幼稚園教育要領(文部科学省)
幼児教育は「生活や遊びを通して」行い、5領域(健康・人間関係・環境・言葉・表現)を総合的に育むと示されています。
朝の会は集団としての生活リズムと所属感を整え、主活動は各領域にわたる経験を子どもの興味に基づいて深める時間です。
幼児期の終わりまでに育ってほしい姿として、主体性・協同性・言葉による伝え合い・数量や図形への気づき・自然への関心などが挙げられ、ここで述べた活動はそれらの具体化です。
– 保育所保育指針(厚生労働省)
3~5歳児は「養護と教育の一体的な提供」が基本で、健康・安全・基本的生活習慣の形成と、遊びを通した学びの充実が求められます。
朝の会での健康観察・衛生指導、主活動前後のトイレ・水分補給・衣服調整は、この観点に合致します。
計画(年間・月案・週案・日案)に基づき、ねらいと環境構成、援助内容、評価・記録を循環させることも指針に示されています。
– 幼保連携型認定こども園教育・保育要領
幼稚園教育要領と保育所保育指針の理念を統合し、生活と遊びを中心に連続性のあるカリキュラムを求めています。
年齢や発達差、家庭状況の多様性に応じた柔軟な運営(例えば、朝の会の時間や形式の弾力化)もここで担保されます。
– 発達心理・教育学の知見
予測可能な日課は自己調整・安心感を高め、実行機能の発達を支えます。
ヴィゴツキーの最近接発達領域(ZPD)に基づくスキャフォルディングは、小グループや段階化した素材設定で具体化されます。
遊びを中心とした探究は、認知・社会情緒・言語の統合的発達に資することが多数の研究で示されています。
よくあるQ&A的補足
– 朝の会は長いほど良い?
いいえ。
集中持続時間や日によるコンディションに合わせて可変に。
要点は「安心のルーティン」「見通し」「導入」の3点を押さえること。
– 主活動は毎日同じ?
ねらいに応じて変化をつけますが、週を通しては領域のバランスを取り、継続的に深める活動(プロジェクト)と、その日の興味に応じた活動を織り交ぜます。
– 雨天時は?
室内サーキットや大きな制作、感触遊びなどで代替。
安全確保と換気、動と静のバランスに留意。
要するに、朝の会は「心と体と集団を整える場」、主活動は「遊びを核に学びを深める場」です。
保育者は見通しと環境を用意し、子どもの興味・発達に合った足場をかけ、安全と健康を守りながら、振り返りと記録で次につなげます。
これらは幼稚園教育要領・保育所保育指針・こども園要領の趣旨(生活や遊びを通した総合的な育ち、5領域、計画と評価の循環)に基づく運営です。
外遊びと室内あそびはどのように組み合わせているの?
ご質問の「外遊びと室内あそびはどのように組み合わせているの?」について、園(幼稚園・保育所・こども園)での1日の流れや運営上の工夫、教育・保育のねらいと効果、根拠となる指針・研究に基づいて詳しく説明します。
園によって方針や時間配分は異なりますが、日本の標準的な枠組みと実践で共通する考え方をもとにまとめています。
基本の考え方
– 幼児期の教育・保育は「遊びを中心」に構成され、環境(空間・時間・人・教材)を通して子どもの主体的な活動を引き出すことが軸です。
文部科学省「幼稚園教育要領」、厚生労働省「保育所保育指針」、内閣府「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」は共通して、心身の発達・社会性・感性を育むために、屋外(戸外)と室内の双方の遊びを十分に確保することを求めています。
– 組み合わせの基本は「選べる」「循環する」「つながる」の3点です。
たとえば、同じ時間帯に戸外と室内の両方を開き、子どもが選べるようにする。
午前と午後で屋外・室内を循環させる。
屋外活動で得た経験(素材・気づき)を室内活動に接続し、逆に室内の創作や計画を屋外で試す、といった往還を意図的につくります。
典型的な一日の流れと組み合わせ
以下は3〜5歳児の一例です(0〜2歳は午睡や休息をより厚く取り、屋外滞在は短い単位で複数回に分けることが多い)。
730〜900 登園・朝の自由あそび(主に室内)
コーナー保育(積み木、ままごと、ブロック、製作、本、感覚遊びなど)を開け、テラスやデッキを介して屋外にも小さな活動を用意。
早く来た子は体調や気分に応じて穏やかに過ごし、順次登園で友だちがそろうにつれ活動の勢いが増します。
900〜920 朝の集まり
今日の見通しを共有し、屋外と室内の「二本立てメニュー」(例 園庭の探検チーム/室内の製作チーム)を提示。
子ども自身の選択を尊重しながら小集団を編成します。
920〜1040 主活動ブロック(屋外・室内を並行開放)
屋外 砂・水・泥・草花・斜面・遊具・ボール・リレーなど。
挑戦の段階を設け、教師は危険を避けつつ「やってみたい」を支える。
室内 製作(外で集めた葉・木の実のコラージュ)、ごっこ遊び、科学遊び(虫メガネ、水の量比べ)、言葉あそび、音楽など。
扉を開けデッキを介して行き来できるようにすると、集中が切れた子が環境を変えて再び没頭しやすくなります。
1040〜1120 片づけ・振り返り・手洗い
屋外で見つけたものを「見せたい箱」に入れて室内へ持ち帰り、振り返りのきっかけに。
記録写真や短いメモを掲示して対話を促します。
1120〜1230 給食
屋外での全身運動は食欲と姿勢の安定につながり、食事リズムを整えます。
1230〜1430 休息・午睡・静かな遊び
3歳以上でも短い休息タイムを設定し、絵本・パズルなどの静的活動を室内で。
0〜2歳は午睡をしっかり取り、起床後に短時間の屋外へ。
1430〜1530 午後の自由あそび(天候により屋外再開)
夏場は日射の弱い時間帯に再び屋外を開放。
冬場は室内での協同製作や運動遊び(サーキット)を厚めにし、外は短時間・高密度で。
1530〜1830 降園・延長保育
順次降園の時間帯は室内の落ち着いたコーナーを中心にしつつ、テラスや屋根付きスペースで軽い運動ができるようにします。
年齢・発達に応じた配慮
– 0〜2歳 外気に触れる短い散歩やテラス遊びを複数回。
危険予測が未熟なため保育者の近接見守りを厚く。
室内は感覚遊び・模倣遊び中心。
– 3〜4歳 屋外での全身運動と探索を主に、室内で言葉・数量・造形の芽を育てる。
選択制の活動で自己決定と切り替え力を育む。
– 5歳(年長) プロジェクト的なつながりを強化。
例えば「凧を設計(室内)→材料準備(室内)→試験飛行(屋外)→改良(室内)→大会(屋外)」のように往還を明確にします。
季節・天候・安全管理に基づく調整
– 夏 日射の強い時間帯(概ね1000〜1400)は屋外滞在を短くし、朝夕に屋外を厚めに。
WBGT(暑さ指数)などの基準で中止・短縮を判断し、こまめな水分補給・日陰・ミスト等を準備。
– 冬 ウォームアップを室内で行い、短時間でも外に出て高強度に体を動かす。
重ね着・手袋等で冷え対策。
鼻水や咳の様子を見て無理せず室内選択肢も。
– 雨 レインウェアでの「雨の日探検」や水たまり実験など「レイン保育」を設ける園も。
安全確保が難しい時は室内で粗大運動コース(トンネル、平均台、マット)を組む。
– 安全 園庭の危険箇所の定期点検、見守り導線の確保、人数と配置の最適化、救急準備、紫外線対策、アレルギーや疾患への個別配慮を行います。
組み合わせの具体的技法
– 並行開放と小集団ローテーション 同時に屋外・室内を開け、20〜30分ごとに希望者が移動できる仕組み。
集中が継続している場合は移動を強いない。
– コーナー保育と環境構成 屋外にも「自然観察コーナー」「大工コーナー(安全工具)」「砂水工学コーナー」などテーマを持たせ、室内の製作・書籍・記録と連動。
– 異年齢交流 屋外では年長が年少のモデルとなり、室内では年少が安心して関わる。
役割が循環することで双方の学びが深まる。
– ドキュメンテーション 写真・子どもの言葉・作品を可視化し、屋外と室内の経験がつながっていることを子どもと保護者に示す。
翌日の活動設計の根拠にもなる。
– 個別ニーズ対応 音や人混みが苦手な子には朝いちの静かな室内や人の少ない園庭を勧めるなど、選択肢を同時に開くことで安心して参加できる。
なぜこの組み合わせが有効か(根拠・効果)
– 政策・指針の根拠
・文部科学省「幼稚園教育要領」は、環境を通して行う教育と「遊びを通しての総合的な学び」を基本に、戸外での活動機会の確保を求めています。
・厚生労働省「保育所保育指針」は、健康・人間関係・環境・言葉・表現の5領域を遊び中心で育むことを示し、戸外遊びを含む日課の工夫を例示しています。
・内閣府「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」も、園生活全体を通じた発達支援と、生活と遊びの一体化を示し、屋外・室内のバランスを重視します。
いずれも「子どもの主体性」「見通しのある生活」「保育者の援助と環境構成」を鍵とし、日課の中で適切に屋外・室内を配置することが推奨されています。
身体活動・健康の根拠
・WHOの幼児向け身体活動ガイドライン(2019)は、3〜4歳児に1日合計180分以上の身体活動(うち少なくとも60分程度の息が弾む強度)を推奨。
屋外遊びはこの基準を満たしやすい環境です。
・日本の各指針(保育所保育指針解説等)でも、戸外遊びの充実が体力・運動習慣・生活リズムの形成につながることが示されています。
・屋外の自然光と多様な地形は、大筋群の発達、平衡感覚、空間認知、骨への機械的刺激(骨密度形成)に寄与するとされています。
認知・情緒・社会性の根拠
・休み時間や外遊びは、その後の注意集中・課題遂行を高める効果が報告されています(教育心理分野の研究)。
屋外→室内の切り替えを日課に組むことで、学びの効率が向上しやすい。
・屋外は「挑戦的な遊び」(少しの高さ・速さ・未知への探索など)を安全に経験でき、自己効力感やリスク判断力の発達に資することが示されています。
・室内遊びは、言語・数量・記号・協同的なルールづくり、微細運動や計画性を育むのに適しており、屋外で得た素材や体験があることで意味づけが深まります。
・米国小児科学会(AAP)の声明など、遊びそのものが自律・ストレス緩和・創造性の基盤であることを示す報告があり、屋外・室内の多様な遊びを組み合わせる意義を裏づけます。
生活リズム・食事・睡眠の根拠
・午前の全身運動→食事→休息(午睡や静かな時間)→午後の再活性という「日内リズム」を意識した配列は、睡眠の質と情緒の安定を高めやすいとされます。
保育実践でも、外遊び後に食欲が増し、休息の入りが良いことが経験的に一貫しています。
運営上のポイント(保護者と園の協働)
– 服装と持ち物 動きやすく汚れてもよい衣類、帽子、季節に応じた防寒・暑さ対策、替えの下着・靴下。
レインウェア・長靴を常備すると雨の日の活動が広がります。
– 体調共有 朝の健康観察で屋外活動の可否・強度を調整。
アレルギーや皮膚トラブルなど個別情報を連携。
– 連絡と可視化 今日の屋外・室内の様子、子どもの選択や達成感を写真と言葉で共有し、家庭での会話や次の意欲につなげます。
具体例(屋外×室内の往還プロジェクト)
– 自然素材のアート 園庭で落ち葉・木の実集め(屋外)→分類・数比べ(室内)→コラージュ制作(室内)→作品を屋外に展示して「落ち葉ギャラリー」(屋外)。
– みずの研究 水路づくり・ダム遊び(屋外)→流量やスピードの実験(屋外)→記録と仮説づくり(室内)→改良設計(室内)→再挑戦(屋外)。
– からだづくり 園庭サーキット(屋外)→バランス・跳躍の練習(室内マット)→リレーやダンス発表(屋外)。
よくある質問に短く回答
– どのくらい屋外に出るのがよい?
→年齢と季節によりますが、午前・午後にそれぞれ30〜60分程度、合計で1〜2時間程度の屋外時間を確保する園が多いです。
熱中症や寒さに配慮して柔軟に調整します。
– 雨や猛暑日は?
→屋根付きスペースや短時間の外気浴、室内の粗大運動で置き換え。
暑さ指数等の基準で無理をしない。
– 室内は何を重視?
→言葉・数量・造形・協同的なごっこ遊び、記録と振り返り。
屋外体験とのつながりを意識することで学びが深まります。
参考となる根拠・資料(概要)
– 文部科学省「幼稚園教育要領」 遊び中心、環境を通した教育、戸外活動の重視。
– 厚生労働省「保育所保育指針」 日課の工夫、戸外遊びの機会、5領域の総合的育ち。
– 内閣府「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」 生活と遊びの一体化、主体性と協同性の育成。
– WHO(2019)幼児の身体活動・座位行動・睡眠指針 3〜4歳で1日180分以上の身体活動(うち60分は息が弾む活動)。
– 遊びに関する国際的な小児学・教育学の知見(米国小児科学会など) 遊びが認知・情緒・社会性・ストレス緩和に資する。
まとめ
外遊びと室内あそびは、時間で単純に分割するよりも、同時に開き子どもが選べるようにし、午前・午後で循環させ、活動同士を往還させることで相乗効果が生まれます。
政策的にも実践的にも、屋外での全身運動・自然との出会いと、室内での言葉・創造・振り返りをつなげる設計が推奨されており、これが心身の健やかな発達、意欲と集中、生活リズムの安定につながるという根拠があります。
園は季節・天候・安全・個別ニーズをふまえて柔軟にタイムテーブルを調整し、保護者と協働しながら、子どもが「やってみたい」を安心して広げられる一日をつくっています。
給食・おやつ・午睡の時間はどのように支えられているの?
ご質問の「園生活の1日(保育所・幼稚園・認定こども園)の中で、給食・おやつ・午睡の時間がどのように支えられているか」について、現場運営の実際と、国や自治体等の基準・ガイドラインに基づく根拠を交えて詳しくお伝えします。
給食の時間を支える仕組み
– 体制と役割分担
– 栄養士・管理栄養士が献立作成、栄養管理、衛生管理の計画・点検、アレルギー対応の統括を担います。
児童福祉施設の設備及び運営に関する基準では、一定規模以上の保育所で栄養士配置が求められています。
調理員は衛生基準に沿って調理・配膳、保育士は食事場面の発達支援(姿勢、食具の使い方、ことばかけ)、安全見守り(誤嚥・窒息予防)を担当し、連携して提供します。
– 栄養管理と献立
– 献立は日本人の食事摂取基準および「保育所における食事の提供ガイドライン」に基づき、年齢や活動量に応じたエネルギー・たんぱく質・脂質・鉄・カルシウム・食塩相当量などの目安を満たすよう設計します。
家での夕食や週末の食事とバランスがとれるよう、保護者への献立表の事前共有を行い、食育のねらい(旬の食材、郷土食、行事食)も位置づけます。
– 0歳児の離乳食は「授乳・離乳の支援ガイド」に基づき、初期・中期・後期・完了期の段階を保護者・主治医と合意した個別計画で進め、形状・硬さ・量を微調整します。
– 衛生管理(安全な調理・提供)
– 厚生労働省の大量調理施設衛生管理マニュアルおよびHACCPの考え方に基づく衛生管理で、原材料受け入れから加熱(中心温度の確保)、冷却、保管、配膳までの重要管理点を定め、記録・点検を行います。
交差汚染防止(生食材・加熱後食材の動線・器具分離、色分けまな板等)、手指衛生、食器消毒、提供時間管理、ノロウイルス対策(十分加熱、吐物処理手順)などを徹底します。
– 食物アレルギー対応
– 事前に医師の診断書や生活管理指導表をもとに「個別対応表」を作成し、除去・代替・提供方法・緊急時対応(エピペン携行・119通報手順)を全職員で共有。
配膳トレーや食器の色分け、保管場所の分離、提供前ダブルチェック、喫食後の記録までをルール化します。
使用する市販品は消費者庁の食品表示基準に基づくアレルゲン表示を確認します。
– 食事場面の支援と安全
– 椅子・テーブルの高さ調整で足底接地を確保し、嚥下しやすい姿勢を作ります。
誤嚥リスクの高い食材(ナッツ類、丸粒ぶどう、ミニトマト、餅、ピーナッツ、こんにゃくゼリー、飴等)は年齢に応じて提供を避ける・切り方を工夫するなどの対策をとります。
咀嚼発達に合わせた大きさ・硬さの調整、食具操作の援助、偏食・感覚過敏への個別支援も含みます。
喫食量、様子、特記事項(むせ、発疹)は記録して保護者と共有します。
おやつ(間食)を支える仕組み
– 位置づけと栄養的役割
– おやつは単なる「菓子」ではなく幼児期の「補食」。
とくに1~2歳児は一度に食べられる量が少ないため、給食と合わせて1日の栄養必要量を満たすよう設計します。
「保育所における食事の提供ガイドライン」は、年齢ごとのエネルギー・栄養の配分方針を示しています。
– 内容と時間
– 午前(未満児)と午後(全学年)に設定されることが一般的。
内容は牛乳・乳製品、果物、いも類、穀類、手作り蒸しパン・おにぎり・野菜マフィンなど、主食・副食の補完となる組み合わせを基本に、砂糖・塩分・飽和脂肪を過剰にしないよう工夫します。
水分補給は水・麦茶を基本にし、甘味飲料の習慣化を避けます。
– 安全とアレルギー配慮
– 市販菓子を用いる場合はアレルゲン表示と原材料を必ず確認し、製造ラインのコンタミ情報もチェックします。
3歳未満の誤嚥リスク食品は避け、果物やトマトは皮をむき縦割り・4分割など形状を調整します。
提供前のダブルチェック、配膳導線の分離、提供票の掲示でヒューマンエラーを減らします。
– 食育の機会
– おやつは食育の絶好の場でもあります。
旬の味に触れる、簡単なクッキング保育(衛生・安全管理のもとでの野菜洗い・皮むき・盛り付け)、量の調節や「ごちそうさま」のマナーの学習につなげます。
午睡(昼寝)を支える仕組み
– 発達と健康の観点
– 午睡は心身の回復、情動の安定、学習・遊びの集中を支える重要な時間です。
保育所保育指針は、子どもの生活リズムに応じた休息・睡眠の確保を求め、個別差への配慮(年齢、午前中の活動量、家庭での夜間睡眠)を前提にしています。
5歳前後では長時間の午睡が夜間睡眠に影響することがあるため、入眠しない子の静かな活動への切り替えなど柔軟に対応します。
– 安全な環境設定
– 室温・湿度を季節に応じて調整し、衣服・掛物で体温過剰上昇を防ぎます。
照度は落としつつも見守りに支障が出ない明るさを確保。
換気を定期的に行い、寝具は個人専用・清潔保持(カバー週1回以上の洗濯・天日干し等)。
ひも付きタオル・スタイ・ネックウォーマー・フード付き衣類は外し、顔周りに柔らかい物(ぬいぐるみ・大きなタオル)が来ないようにします。
– 見守り・点検(SIDS・窒息等の事故予防)
– うつ伏せ寝を避け、仰向けを基本に。
とくに0~1歳児は睡眠中の事故リスクが高いため、短い間隔での呼吸・顔色・体勢確認を実施します。
一般的には0歳児で5~10分間隔、1歳児で10分前後、2歳以上で15~30分間隔を目安に、チェック表へ時刻・呼吸・体位・室温等を記録します。
体動センサー等を補助的に用いる園もありますが、対面での目視確認を基本とします。
– 発熱・咳・鼻閉・アトピーの掻破など体調に応じて掛物や姿勢を調整。
保育士は心肺蘇生と気道異物除去、AEDの訓練を定期的に受け、万一に備えます。
– 個別配慮と保護者連携
– 月齢や家庭の就寝時刻・起床時刻を把握し、入眠しづらい子は静かな絵本・ぬり絵、短時間休息への切り替えなどでリズムを整えます。
アトピー性皮膚炎、気管支喘息、熱性けいれんの既往など健康情報を共有し、午睡中の観察重点を個別に設定。
記録はお迎え時や連絡帳、ICTツールで保護者へフィードバックします。
– 感染症対策
– 風邪や胃腸炎等の流行時は、子ども同士の顔の向きを互い違いにする、近接しすぎないレイアウト、寝具の共用禁止、リネン類のこまめな洗濯・交換、手指衛生の徹底などで飛沫・接触感染の機会を減らします。
記録・連携・研修で支える
– 日々の記録(献立・調理記録、衛生記録、喫食量、アレルギー対応チェック、午睡チェック表)の整備と、月次の衛生点検・事故ヒヤリハットの振り返りで再発防止を図ります。
– 保護者とは、家庭の朝食量・睡眠時間・体調・アレルギー症状の有無などを連絡帳や送迎時に共有し、園での対応(量の調整、食材変更、午睡の長さ調整)に反映します。
– 職員研修は必須。
衛生管理(大量調理マニュアル、感染症対策)、アレルギー緊急対応(エピペン模擬訓練)、救急救命、SIDS予防と午睡見守り、誤嚥・窒息予防の切り方・提供法などを定期的に実施します。
具体的な日課の一例(年齢により調整)
– 1000前後 未満児の午前おやつ(牛乳+軽食)、その後あそび
– 1115~1200 給食(配膳→食事→歯みがき・手洗い)
– 1230~1500 午睡(年齢・個人差で入眠・起床に幅。
途中覚醒への対応)
– 1500~1530 起床・検温・排泄・着替え
– 1530~1600 午後おやつ(全学年)
– 以降、順次降園
トラブル未然防止の工夫
– 献立・仕込み・配膳・喫食の各段階でダブルチェック(特にアレルギー)。
色分けトレーや個別ラベルで人為ミスを抑制。
– 配膳前の温度測定、再加熱、提供までの時間管理。
余った料理の再提供はしない。
– 午睡前の健康観察(呼吸音・鼻閉・湿疹・咳・体温)。
眠れない子の代替活動の準備。
– 災害時(地震・火災)を想定した、配膳中・午睡中の避難動線訓練。
午睡室の避難靴・防災頭巾の定位置化。
主な根拠と参照できるガイドライン・基準
– 保育所保育指針(厚生労働省告示、平成29年告示第117号)
– 子どもの発達と健康、安全な生活の確保、食育や睡眠・休息の確保、個別配慮と保護者連携の基本を示す。
– 保育所における食事の提供ガイドライン(厚生労働省、平成31年[2019]策定)
– 年齢別の栄養目安、食事・おやつの位置づけ、アレルギー対応、衛生管理、食育の進め方を包括的に整理。
– 大量調理施設衛生管理マニュアル(厚生労働省、令和元年改定)
– HACCPの考え方による重要管理点、加熱基準、冷却・保管、交差汚染防止、ノロウイルス対策、記録の様式例等。
– 授乳・離乳の支援ガイド(厚生労働省、最新版)
– 離乳の進め方、食形態、量、アレルギーの考え方、家庭との連携の基本。
– 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(厚生省令第63号ほか)
– 保育所の設備・人員配置、栄養士配置、衛生・安全に関する最低基準。
– 食品表示基準(消費者庁)
– 特定原材料等のアレルゲン表示の義務(特定原材料は近年の改正で拡充)、市販食品選定時の確認根拠。
– 乳幼児の睡眠中の事故防止に関する資料(消費者庁、自治体ガイドライン)
– うつ伏せ寝回避、顔周りの環境整備、定期的な呼吸・体位確認の必要性、事故事例の共有。
– 幼児の誤嚥・窒息予防に関する注意喚起(消費者庁、自治体)
– リスク食材一覧、切り方、提供対象年齢の目安。
– 日本人の食事摂取基準(厚生労働省)
– 年齢区分ごとのエネルギー・栄養素の推定必要量・目安量・目標量。
献立設計の根拠。
まとめ
– 給食・おやつ・午睡は、栄養士・調理員・保育士が役割分担し、国の指針や衛生マニュアルに沿った計画・実施・記録・振り返りのサイクルで支えられています。
食事は栄養を満たすだけでなく食育と生活習慣づくりの場であり、おやつは補食としての栄養的役割を担います。
午睡は発達と安全の観点から、環境整備と見守り(SIDS・窒息予防)を軸に個別配慮が求められます。
これらを確実に実施するために、職員研修、保護者との密な情報共有、エビデンスに基づくガイドラインの活用が不可欠です。
もし園種別(保育所/幼稚園/こども園)やお子さんの年齢に合わせた、より具体的な日課例や献立・午睡チェック表のサンプルが必要でしたら、条件を教えてください。
個別にカスタマイズしてお出しします。
帰りの会から降園、そして保護者への連絡はどう行われるの?
ご質問の「帰りの会から降園、そして保護者への連絡はどう行われるの?」について、幼稚園・保育所(保育園)・認定こども園に共通する実務の流れと、制度・指針上の根拠を交えて詳しく説明します。
園の種類や自治体、園の方針によって運用は多少異なりますが、下記が標準的なイメージです。
帰りの会(ねらいと流れ)
– 目的
– 1日の活動を振り返り、子ども自身が経験を言語化・共有すること。
– 明日の見通しや約束(持ち物、行事、体調管理)を確認すること。
– クラスで一体感をもって「学びを閉じる」こと。
– 典型的な進行
– 片付け・手洗い・排せつを済ませて集合。
– 今日の活動のふりかえり(発表・対話)、歌や手遊び、絵本読み聞かせ。
– 明日のお知らせ・持ち物の確認、行事の再周知。
– 帰りのあいさつ。
– 子ども側の準備
– ロッカー整理、持ち物の点検(連絡帳、上履き袋、タオル、制作物など)。
– 季節や活動に応じて着替え。
– 教職員側のポイント
– けがや体調変化、友だちとの関わり等、共有すべき事項を整理。
– 連絡帳や連絡アプリに要点を記録(後述)。
降園準備から引き渡しの標準手順
– 順次降園と一斉降園
– 保育所・こども園ではお迎え時間が家庭ごとに異なる「順次降園」が中心。
– 幼稚園は定時に「一斉降園」、その後は預かり保育に合流することが多い。
– 本人確認と引き渡し
– 事前に園が把握する「引き渡し可能者名簿」に基づき確認(顔認証・札・合言葉・身分証など)。
– 登降園記録(紙またはIC/アプリ)へ記録し、保護者へ口頭で要点を伝達。
– 代理のお迎え時は、保護者からの事前連絡と本人確認を厳格に実施。
– 延長・預かりへの移行
– 定時を超える場合は延長保育へ。
担当保育者や保育室が変わるタイミングで、引き継ぎ(健康状態、当日のできごと、配慮事項)を行う。
– 安全管理
– 門扉・施錠・駐車場の動線を整理。
園庭・門前での飛び出し防止の声かけと立哨。
– 園バス利用の場合は乗降時の点呼、座席確認、降車後の車内点検(後述)。
園バス降園のポイント(幼稚園で多い)
– 乗降時の名簿点検、停留所での対面受け渡し(保護者不在時は乗せない/降ろさないルール)。
– 降車後の「置き去り防止」を目的とした車内最終確認と安全装置の作動確認。
– 天候急変や道路事情による遅延は一斉連絡(メール/アプリ)で通知。
保護者への日常的な連絡手段と内容
– お迎え時の口頭連絡(数分)
– 今日の様子(遊び・学びのハイライト、対人関係、挑戦・成長)。
– 健康・安全(発熱傾向、けが・投薬、食物アレルギー対応の記録)。
– 明日の持ち物や留意点(行事、制作、天候対応)。
– 連絡帳(紙)または連絡アプリ
– 園から 活動内容、食事・睡眠・排せつの記録(特に0-2歳)、けが報告、今後の予定。
– 家庭から 朝の体調(発熱、咳、食欲)、服薬の有無、家庭での出来事、連絡事項。
– 欠席・遅刻・早退の連絡、延長保育の申込みもアプリで完結する園が増加。
– 園だより・学年(クラス)だより・掲示
– 月予定、行事案内、保健だより、給食献立、感染症情報。
– 一斉連絡(緊急時)
– 災害・不審者・大雪や台風による休園・短縮、園バスの運休など。
– 写真・動画の共有
– アプリや封筒配布。
肖像権・個人情報保護の同意にもとづく運用(後述)。
緊急・イレギュラー時の連絡と対応
– お迎え遅延
– 規定時刻を過ぎる場合は園へ連絡。
園は延長保育へ安全に切替え、保護者へ費用やお迎え可能時刻を確認。
– 代理引き渡し
– 名簿照合・本人確認の徹底。
事前に「代理人届け」や当日連絡の記録を残す。
– けが・体調不良
– 園は状況に応じて応急処置→保護者へ連絡→医療機関受診の要否判断。
重大事案は所轄自治体へ報告。
– 災害時
– 一時避難・二次避難の動線に沿って保護者の引き取りを実施。
安否確認は一斉連絡網・掲示で実施。
園種別による違い(概略)
– 幼稚園(文部科学省所管)
– 教育時間が比較的短く、一斉降園が基本。
預かり保育(子育て支援)で延長可。
学級担任による「帰りの会」が明瞭。
– 保育所(厚生労働省所管)
– 保育時間が長く、順次降園。
乳幼児では生活記録(睡眠・排せつ等)の共有が厚い。
– 認定こども園(内閣府・文科省・厚労省の連携)
– 幼保連携型のため、教育と保育の連続性をもつ。
降園・連絡の枠組みは上記双方の特徴を踏まえて設計。
1日の終わりの時系列例(イメージ)
– 1400 帰りの会(ふりかえり、明日の確認、歌)
– 1420 身支度・持ち物点検、保育者は連絡帳・アプリの最終入力
– 1430 一斉降園(幼稚園)/順次降園(保育所・こども園)
– 1500 預かり保育・合同保育へ合流、園バス便の運行・乗降確認
– 1600-1830 順次お迎え、口頭で要点共有、延長保育運用
– 閉園時 最終見回り、登降園記録・事故記録の整理、翌日の準備
情報管理・個人情報保護の配慮
– 連絡帳・アプリに記載する健康情報・写真は目的外利用を避け、閲覧権限を限定。
– 写真・動画の外部公開(園のSNS・広報誌等)は事前同意にもとづき、写り込み配慮や氏名伏せを徹底。
– 紙の連絡帳や掲示は、他家庭の個人情報が見えない掲示方法・保管方法を採用。
この運用を支える主な根拠(法・指針・通知の考え方)
– 幼稚園教育要領(文部科学省)
– 総則において「幼稚園と家庭及び地域社会との連携」を明記。
家庭との情報共有や協働を通じて教育の効果を高めることが示されています。
帰りの会でのふりかえりや、保護者への計画的な伝達は、この「連携」を具体化する運用です。
– 保育所保育指針(厚生労働省)
– 第5章「保護者に対する支援」および「家庭及び地域社会との連携」において、家庭と保育所が子どもの育ちに関する情報を双方向で共有し、保育の連続性を図ることが求められます。
乳幼児期の生活記録の共有(食事・睡眠・排せつ等)や、けが・体調の丁寧な伝達は、ここに基づく基本実務です。
– 認定こども園教育・保育要領(内閣府・文科省・厚労省)
– 教育と保育の両面から「園と家庭の連携」を位置付け、日々の活動の可視化と共有を通じた協働を求めています。
降園・引き渡し時の情報交換や一斉連絡は、この考え方に適合します。
– 保育所における事故防止ガイドライン(厚生労働省)
– けが・ヒヤリハットの記録と共有、引き渡し時の安全管理、門扉・駐車場での事故防止、園バス運用時の点呼・最終確認など、安全確保の仕組みを整備することが示されています。
代理引き渡し時の本人確認徹底も、この文脈に含まれます。
– 送迎用バスの安全装置義務化等(国土交通省の基準・関係省庁通知、2023年施行)
– 幼稚園・保育施設の送迎用バスに「置き去り防止を支援する安全装置」の設置と、降車後の車内点検・点呼を徹底する運用が求められています。
降園バスの乗降管理・最終点検は、この制度改正が根拠です。
– 個人情報の保護に関する法律(個人情報保護委員会)
– 連絡帳・連絡アプリ・写真の扱いは個人情報取扱事業者として適切な管理が必要です。
目的明示、同意取得、第三者提供の管理、漏えい防止等の措置を講じることが求められます。
– 学校保健安全法(主に幼稚園)・保育所における感染症対応ガイドライン(厚労省)
– 体調不良時の連絡・受診勧奨、感染症流行時の一斉連絡・出席停止の取り扱い等の基本枠組みを定め、保護者との迅速な情報共有が必要であることを示します。
– 保育・教育現場のICT化に関する手引き(内閣府等)
– 欠席連絡、登降園記録、写真共有、一斉連絡などのICT活用は、業務効率化・保育の質向上の観点から推進されています。
連絡アプリの普及はこの政策動向の反映です。
保護者側の実践ポイント(スムーズな降園・連絡のために)
– お迎え時間と代理人情報を最新に保つ(氏名・関係・連絡先・合言葉)。
– 欠席・遅刻・延長は早めにアプリや電話で連絡。
投薬が必要な日は与薬依頼書や薬剤情報を整える。
– 連絡帳・アプリへの「朝の体調」「家庭での様子」の入力を習慣化し、園での配慮につなげる。
– 写真・動画の取り扱い同意の範囲を確認し、不明点は園に相談。
– 災害時の引き取りルール(一次・二次避難場所、連絡経路)を家族で共有。
まとめ
– 帰りの会は、子どもが一日の学びを振り返り、翌日へつなぐ教育的な時間です。
その後の降園では、本人確認・登降園記録・安全点検を確実に行い、保護者へは口頭と連絡帳(またはアプリ)で健康・活動・次の準備を双方向に共有します。
– これらは、幼稚園教育要領・保育所保育指針・認定こども園教育・保育要領が求める「園と家庭の連携」を土台に、事故防止ガイドラインやバス安全装置義務化などの安全基準、個人情報保護法等の法令に支えられています。
– 園ごとに細部の運用は異なるため、在籍園のしおり・約束事(降園ルール、代理引き渡し、延長保育、緊急時対応、写真の扱い)を必ず確認し、不明点は担任・園長に遠慮なく相談するのが安心です。
主な参考(名称と所管)
– 幼稚園教育要領(文部科学省)総則「幼稚園と家庭及び地域社会との連携」
– 保育所保育指針(厚生労働省)第5章「保護者に対する支援」、家庭・地域との連携
– 認定こども園教育・保育要領(内閣府・文科省・厚労省)
– 保育所における事故防止ガイドライン(厚生労働省)
– 送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置の設置義務と運用の徹底(国土交通省・関係省庁通知、2023年~)
– 個人情報の保護に関する法律(個人情報保護委員会)
– 感染症対応の手引き(学校保健安全法関係 文部科学省/保育所向け 厚生労働省)
– 保育・教育分野のICT化手引き(内閣府 等)
上記の方針に沿って整えられた園では、子どもの安心・安全と学びの連続性、そして保護者の納得感が高まります。
お子さまの園での終礼から降園、連絡の流れを可視化し、家庭との協働を深めていくことが大切です。
【要約】
学校保健安全法(施行規則)は、学校・幼稚園等での児童生徒等の健康保持と安全確保を目的に、定期健康診断、環境衛生基準、学校医・学校薬剤師の配置、感染症別の出席停止期間・復帰条件を規定し、流行抑止と学習権の両立を図る。対象は学校(幼稚園等)で、インフルエンザ・水痘・麻しん等は一定の経過や解熱後日数、痂皮化等を踏まえ再開を判断。事故防止計画や安全教育、危機管理体制も定める。